高校留学への人気に比例して、同じく人気が高まりつつある寮ステイでの「公立」高校留学。
カナダでは私立校の複数校で寮滞在が可能であったものの、全体の費用が安価な公立ではごくごく一部のみでした。アルバータ州のゴールデンヒルズ学区が早くから寮を提供しており、長年とくに日本人学生には毎年大人気でした。昨今は、ほかの州のほかの学区でも寮を提供するようになり、現在はカナダ国内で3つの学区で寮滞在の高校留学が可能になっています。
寮はホームステイのようにホストとの関係に気を使うことがなかったり、留学生中心の生活になるため寂しさがないなど気楽な点も多いと同時に、寮内の人間関係がそのまま学校生活にも反映して留学で得られる人脈がクローズドになりがちなことや、寮内のお友達同士のいざこざに巻き込まれた場合はストレスが強くかかるなどのデメリットもあります。
学生本人がどのような留学を望んでいるか、留学生活で何を一番大切にしたいかによって選ぶとよいのかと思います。それぞれ得られる経験や成長ポイントは異なるので、十分に検討してください。
以下の公立の寮を持つ3学区は、空き状況にもよりますが、ホームステイに切り替えることも可能なので、一部の寮しか持たない私立校とは異なり、寮を退くこと=退学することとはならない点は安心です。
ゴールデンヒルズ学区(アルバータ州)

ゴールデンヒルズ学区はカナダの公立学区では寮のある学区の元祖であり、長らく「カナダ唯一」の公立寮のある学区でした。そのため、しっかりとした体制が整っており、日本人のスタッフの方も複数名いる日本人留学生には非常に安心な環境が整っています。
ストラスモアと、ドラムヘラー、スリーヒルズという3つのそれぞれのエリアにある高校で寮を提供しています。スリーヒルズの高校はPrairie Christian Academy(PCA)と呼ばれるクリスチャン系の高校もあり、公立でありながら入学にはオンライン面談を要したり、少人数で学校運営がなされている私立のような環境のある特別な学校です。スリーヒルズの公立高校はPCAの寮を利用するため、入寮には面談が必要になります。
ホームステイを選ぶことも可能です。ゴールデンヒルズはカルガリーに車で1時間程度の郊外の田舎町であり、それぞれのエリアは非常に小さな町で構成されています。公共交通機関はなく、学生が自由に大きな町や商業機関などに出かける環境にないために寮を用意しているという背景があります。いくつかの寮では月に1回、カルガリーに送迎してくれるバスが出ます。(有料)
ドラムヘラーの寮の2人部屋
ウィンザーエセックス・カトリック学区(オンタリオ州)

オンタリオ州は一般公立学区のほかにカトリックの公立学区も持ちますが、とくにキリスト教徒である必要はありません。制服の着用の必要はありますが、学校内はほかの公立と同じように運営されています。ウィンザーエセックス学区は学区の中にあるAssumption Collegeという比較的規模の大きい学校で、隣接した寮を利用可能です。
アメリカのデトロイトに近い町で、大きな町ではありませんが、近くに商業施設もあり、学生は出かけることも可能です。もちろん学区によるアクティビティも様々な種類が用意されており、退屈させないような工夫がなされています。ただ、数年前に始めたばかりの寮プログラムなので、日本人スタッフからのサポートはありません。まだ人数も多くなく、部屋は2人部屋ですが、2024年現在はまだ2人部屋を1人で使用できる状態だそうです。寮以外にも、ホームステイにも切り替えることが可能です。
上記のGH学区との大きな違いとしては、日本人学生の数がまだまだ少ないことかなと思います。また、プログラム費用内で送迎してもらえる最寄りの空港は日本からの場合非常に乗り継ぎの便が悪いので、ESTA(アメリカ入国用ビザ)を申請の上、アメリカのデトロイト空港から陸路でカナダに入国することになるのがややトリッキーですが、デトロイト空港から寮まで国境を越えて連れてきてくれる送迎サービスは追加費用で学区に手配してもらうことが可能です。
ナデシコ留学から寮に入ったMちゃん(中学1年生のGrade 7)。寮のお姉さんお兄さんたちと毎日楽しく過ごしているそうです!
アッパーカナダ学区(オンタリオ州)

アッパーカナダ学区はカナダの首都オタワに隣接する、かなり広範囲にわたり多くの高校を持っている巨大学区です。学区は広大なエリアをカバーしていますが、プログラムはアットホームであり、学生のためのアクティビティも豊富です。オタワ、トロント、モントリオールやケベックへの国内ツアーや、ニューヨークへのツアーを提供することもあります。学区内の8
~10校程度でESLも開講しています。
またこの学区の一部のエリアでは寮を利用することが可能です。Brockvilleというエリアにある、Thousand Islands高校とBrockville高校で寮の選択肢を取ることができます。同じくBrockvilleにある、(2025年2月に変わります:詳細は下部)私立高校のFulford Academyと提携しており、Fulfordの私立寮を使って寮の選択肢を設けているので、学校生活はカナダ人学生の多い中で過ごし、寮生活は留学生中心の私立学生のいる環境で過ごします。(2024年時点では入寮生はFulford生が中心なようです。)私立寮を利用しているため、費用はやや上記2学区より高めになりますが、食事や寮アクティビティ、管理体制は私立のハイクオリティなものに囲まれて過ごすことができます。寮以外にも、ホームステイにも切り替えることが可能です。
こちらもここ数年で開始したサービスなので、日本人学生の数がまだまだ少なく、スタッフにも日本人はいない環境です。
【寮の引っ越し先】
https://www.merrickprep.com/
‐ 寮のお部屋のお写真など
https://www.merrickprep.com/boarding?locale=ja
もともとアッパーカナダ学区の提携していたフルフォードの姉妹校的存在であったメリックビルプレパラトリースクール(Merrickville Preparatory School)が引っ越し先となり合併することになりました。この学校のあるエリアMerrickvilleは元のBrockvilleよりも郊外で静かなエリアで、治安は非常によい代わりに、路線バスなどはないので、お出かけするには寮の方に送り迎えをお願いすることになります。(2週間に1回くらいはオタワにショッピングなどに行けるとのこと。)
ちなみに引っ越した先のMerrickville Preparatory Schoolは合併したあとフルフォードアカデミーという名称になるそうです。
良い点としてはオタワがBrockvilleより近くなる(といっても車で40~50分ほど)ので、遊びに行く場所がわりと都会になることと、寮のお部屋はもともとこちらの学校はホテルだったため、広さがあり、個々のお部屋にバスルームも併設されているお部屋の質が上がることだそうです。
【アッパーカナダ学区の学校について】
この新しい寮に入るには、North Grenville High Schoolという学校のみがスクールバスで通える範囲になりますが、North Grenvilleはカナダ人学生で学校がいっぱいなところがあり、留学生が入れる空席が少ないようで、お申し込みは9月入学の場合、毎年3月までが必須で、2月入学を希望の場合は定員がないこともあり得るので都度確認が必要ということです。この学校にはESLがあり、ESLサポートもあります。寮からはスクールバスで15分程度です。
North Grenville High School