「高校留学をしたいけれど、日本の大学に進学したい。また将来はできれば医療系や理系の学部に進みたい」
そんなご相談をいただくことがあります。
特に高校3年間を海外で過ごして、現地の高校を卒業する「卒業留学」については、
「日本の大学に進学するのが難しくなるのでは?」
「特に医学部や理系は不利なのでは?」
と心配される方も少なくありません。
実際のところ、これは「海外の高校を卒業したら大学進学に不利になる」という単純な話ではありません。
海外の高校を卒業した場合でも、外国で12年間の学校教育課程を修了していれば、日本の大学への入学資格は原則として認められます。ただし、日本と海外では高校のカリキュラムや授業の進め方、大学入試の仕組みが大きく異なるため、特に日本の大学の一般選抜を目指す場合には、進路によって準備が必要になります。
では、なぜ「理系や医療系は不利」と言われるのでしょうか?
理由① 日本とカナダでは高校のカリキュラムが違う
一番大きな理由は、教育システムの違いです。
日本の高校では、大学受験を意識して数学や理科の授業が組まれていることが多く、特に医学部や理系学部を目指す場合は、高校2~3年生で数学Ⅲや物理、化学など、大学入試に必要な科目を集中的に勉強するケースが一般的です。
一方、カナダの高校では、卒業に必要な単位を取得しながら、自分の進路に合わせて履修科目を選択していくスタイルが基本です。
そのため、カナダの高校で卒業に必要な科目をしっかり修了していても、日本の医学部や理系学部の入試で必要となる科目をすべて履修しているとは限りません。また、多くの州で、カナダの数学のカバー範囲は日本のそれよりも狭いと言われており、数Ⅲ数Cの一部はカナダでは大学で学ぶとも言われています。
たので、例えば、
・日本の大学受験で必要な数学の範囲まで学習していない
・物理や化学など、必要な理科科目を履修していない
・日本の大学入試特有の問題形式に慣れていない
といったことが起こってしまいます。
つまり、「カナダの高校を卒業すること」そのものが不利なのではなく、「日本の大学入試に必要な学習」と「カナダの高校卒業に必要な学習」が必ずしも一致しないことがある、というのが大きなポイントです。
理由② 日本の大学の一般選抜に戻る場合、受験対策が必要になる
カナダの高校で学んでいた生徒が、日本の大学の一般選抜を受験する場合、日本の高校生が日常的に取り組んでいる「日本の大学受験対策」を自分で補う必要が出てくることがあります。
特に医学部は、大学によって必要な科目や試験内容が異なり、数学・英語・理科などの学力を高いレベルで求められることが多い分野です。
そのため、
「カナダで高校を卒業して、そのまま日本の医学部を一般選抜で受験する」
というルートは、決して不可能ではありませんが、留学中からかなり計画的に準備する必要があります。
一方で、日本の大学には帰国生入試や総合型選抜、IBを活用した入試など、一般選抜とは異なる入試制度もあります。
IBディプロマ取得者については、日本の大学入試でも出願資格として認められており、大学によってはIBの成績や面接、エッセイなどを活用した選抜が行われています。
つまり、海外高校卒業後の進路は「日本の大学の一般入試だけ」ではありません。
どの国で高校を卒業するかだけでなく、
「高校卒業後、どこの国の大学に進学したいのか」
「どんな入試制度を利用するのか」
「将来どんな仕事をしたいのか」
まで考えて、高校時代の科目選択や学習計画を立てていくことが大切です。
では、理系・医療系を目指すなら海外高校卒業は避けるべき?
ここは、私たちは「必ずしもそうではない」と考えています。
確かに、日本の医学部や一部の理系学部への一般選抜を第一志望とする場合は、日本の高校に通いながら受験勉強をする方がスムーズなケースもあります。
でも、海外高校を卒業するからこそ見えてくる進路もあります。
例えば、大学進学先を日本だけに限定せず、
「カナダの大学に進学する」
「アメリカやヨーロッパの大学を目指す」
「英語で専門分野を学ぶ」
「海外の医学部に進学する」
という選択肢もあります。
海外の高校で学ぶことは、大学受験のための「遠回り」になるのではなく、進路そのものを日本だけに限定しないための選択肢にもなり得るのです。
ただし注意すべきは、「海外で医療を勉強したからと言って必ずその国で就労ビザがもらえるわけではないこと」です。道はありますが、その国の人たちよりも険しく複雑な道のりにもなるため、事前のリサーチや日本での資格の互換性などの確認は必須です。
1年間の高校留学から、世界の医学部へ
実際に、ナデシコ留学を通して1年間カナダの高校に留学した生徒さんから、最近とても嬉しいご報告をいただきました。
高校留学を経験したその生徒さんが、なんとルーマニアの医学部への進学を決められたそうです。
進学先は、ルーマニアのヤシにある
University of Medicine and Pharmacy “Grigore T. Popa”
です。
University of Medicine and Pharmacy “Grigore T. Popa” 公式サイト
保護者様からは、
「ハンガリー、チェコが有名ですが、日本の事務局に支払う費用が高く、留年率・退学率も高いことからルーマニアを選びました」
と教えていただきました。ハンガリー、チェコ、イタリアが英語医学部として知名度ありますが、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドなどにもあるそうです。
ルーマニアは、現在のところ比較的留年率が低く、EU圏で医師として働くことにつながる資格を取得できる点もメリットの一つだそうです。また、2026年の卒業時点で日本の医師国家試験の受験資格も得られているとのこと。
もちろん、海外医学部を卒業した場合の日本での扱いや医師国家試験の受験資格については、今後制度が変わる可能性もあります。
日本の医学部と海外医学部では、入学方法も、学費も、授業の進め方も、卒業までの難しさも大きく異なります。
そのため、「海外医学部がおすすめ」ということではありません。
ただ、一人の生徒さんの進路として、
「高校時代にカナダへ留学した」
↓
「海外で学ぶことを経験した」
↓
「大学進学先を日本だけに限定しなかった」
↓
「ヨーロッパの医学部という新しい選択肢に出会った」
という道が実際に生まれたことは、とても興味深いことだと思います。
親御様からも「この進路を選べたのも、カナダで英語で学んだことで、英語で勉強することに抵抗がなくなったからだと思います」という印象的なお言葉をいただきました。
留学をすると、「進路の選択肢」が増える
高校留学の魅力は、英語が話せるようになることだけではありません。
もちろん、英語力は大きな財産になります。
でも、それ以上に大きいのは、
「日本の中だけで進路を考えなくてもいい」
と、自分自身で実感できるようになることではないでしょうか。
高校生のうちに海外で生活し、現地の学校で学び、世界中から集まる人たちと出会う。
そうすると、
「大学は日本に行くもの」
「高校を卒業したら日本の大学を受験するもの」
という、それまで当たり前だと思っていた進路が、少しずつ変わって見えてくることがあります。
カナダの大学に行くこともできる。
アメリカの大学を目指すこともできる。
ヨーロッパで専門分野を学ぶこともできる。
もちろん、日本の大学に戻ることもできる。
留学をしたからといって、必ず海外に進学しなければいけないわけではありません。
でも、海外を知ったことで、「日本以外にもこんな道がある」と気づける。
それは、これから長い人生を歩いていく上で、とても大きなことだと思います。
今回ご紹介した生徒さんも、最初から「ルーマニアの医学部に進学するためにカナダへ留学した」というわけではありません。
高校時代の1年間の留学が、その後の人生の選択肢を広げ、最終的に世界の中から自分の進みたい道を選ぶことにつながりました。
もちろん、すべての人に海外進学が合っているわけではありません。
日本の大学を目指すなら、日本の大学受験に合わせた準備が必要な場合もあります。
特に医学部や理系学部を目指す場合は、高校留学を始める前に、将来の進路をある程度見据えて履修科目や進学ルートを考えておくことが大切です。
でも、だからといって、
「理系だから留学できない」
「医学部を目指すなら海外高校は無理」
と最初から可能性を閉じてしまう必要もありません。
大切なのは、「留学するか、しないか」だけではなく、
「留学した先に、どんな進路があるのか」
を一緒に考えていくこと。
高校留学をきっかけに、自分の世界が広がり、今まで知らなかった大学や国、職業に出会う。
そして、最後は世界中の選択肢の中から、自分が進みたい道を選ぶ。
私たちは、そんなふうに「世界を舞台に、自分の未来を考えられる人」が増えていくことも、高校留学の大きな魅力の一つだと思っています。
「留学したら、将来の選択肢が狭くなるのでは?」
そんな心配をされる方もいらっしゃいます。
でも、もしかしたらその逆かもしれません。
留学をすることで、今まで見えていなかった世界が見えるようになり、進路の選択肢が日本から世界へと広がっていく。
今回の嬉しいご報告を聞いて、改めてそんなことを感じました。
ナデシコ留学では、「高校留学をしたい」というご希望だけでなく、その先の大学進学や将来の進路も一緒に考えながら、一人ひとりに合った留学プランをご提案しています。
「将来は理系に進みたいけど、留学もしたい」
「医学部を目指しているけれど、高校留学はできる?」
「海外大学への進学も視野に入れてみたい」
そんな方も、ぜひ一度ご相談ください。
高校留学が、その先の人生を考えるきっかけになるように。
そして、世界のどこにいても「自分の進みたい道」を選べるように。
ナデシコ留学は、そんな未来を一緒に考えていきたいと思っています。
