こんにちは!Yukikoです。
今日は前回書いた「留学の失敗」について、私の記事を読んでくれた元ナデシコ学生さんから、寄稿が届きました。なかなか自分の「失敗」をここまで赤裸々に書いてくれる留学生さんはいないかもしれません。とっても貴重で、私は生々しいなと思いながら読みました。
ちなみに、この学生さんは高校留学の段階では「失敗」しておらず、むしろかなり成功していたと思います。カナダの高校に在籍していたのはたった2年で、英語力も特段最初は高いわけではなかったのに、持ち前の頭脳と行動力でカナダの名門大学に合格しました。そしてそのあとの大学進学で「失敗」となりました。
私がここで「失敗」と鍵カッコくくりしているのは、私がこの学生さんを見ている限り、全然何にも失敗していないと思うからです。でもこの学生さんは失敗と思っているみたいです。「あの時カナダの大学を選ばなかったら」という違った世界線の自分の姿も想像して、悔しく思う時があるのかな、と思います。いつか長い人生の中で、これが失敗ではなかったと思ってくれる日が来るといいなと思っていますし、いつも自分の生きる道に誠実で目の前のことに懸命な人間には、遅かれ早かれきっとそういう日が来るのではと思います。
ではリアル「失敗」ストーリーをぜひ読んでみてください。なお、こちらは3本立てシリーズの第1回目です。
私の経歴(ナデシコ留学のブログの愛読者なら筆者がわかるかも…)
私は日本の全日制普通科の高校に進学するも、高校1年の2学期初めから不登校の引きこもりを経験し、ナデシコ留学を通じてカナダの高校にGrade11として編入、2年でなんとか卒業後、運よくカナダの大学に進学しました。
大学1年の後期期末試験の2週間前に新型コロナウイルスが拡大するも、カナダに滞在して夏休み期間中も単位取得のため、勉学に励んでいました。しかし、2年の前期期末試験前に精神的なものから体調を崩して帰国しました。このあたりの詳細は3回シリーズの2回目に詳しく書こうと思います。
その後、1年半ほど引きこもりをして、日本の高校卒業認定試験を9月上旬の受験申し込み締切1週間前にギリギリで申し込み(カナダで高校卒業資格を取っていますが、それが有効な帰国枠やAO枠などではなく一般枠での受験をしようと思ったので。理由は次の項目で後述)、勉強をしつつ同時並行で新聞配達をし始めました。
11月に試験を受けて、なんとか全教科合格し(国語や日本史はほとんど勘)、合格通知を受け取った12月から1ヶ月後に共通テストを受験し、公立の短期大学の2部(夜間)に入学しました。
なぜ短大?
- 学費が安く(2年間入学金込みで50万円程度)、共通テストの上位2教科の成績の提出だけで受験可能
- 共通テストや2次試験で日本の高校生に勝てると思わなかったし、勝負する気力も体力もなかった
- 高認受けてから1ヶ月しかなかったから英語と現代社会に絞って勉強していた(一応、全教科受験はしたけど、、、)
- いっぱい受けてもどうせ1校しか行かないんだから一本に絞ろう
- 受験料もったいないし
っていう感じでした。
ちなみに、帰国枠を使った4年制大学の入学も検討しましたが、体調を崩してカナダの大学を退学している点を突かれるのは嫌だったのと、日本の学生と同等の学力を有している自信がなかったため、断念しました。
将来のことを考えての行動というより、引きこもりから脱却、現状から前に進もうという感じでした。コミュニティカレッジからやり直すみたいな感覚で短大進学を決めました。
ただ、もともと4年制大学に通っていたのもあって、短大に在籍する教授の経歴みたり、シラバスの確認はしていました。教授の出身校が京都大学、東北大学、大阪大学、明治大学などなど有名な大学出身で、中には研究員として研究していた方もいたのも決め手でした。
短大に入学してからわかったことなんですが、日本の大学教員の枠はすごく狭き門だそう。
1つの専門につき、大学での正規職員は1人なんですって。経済学の専門教員は1人、会計学の専門教員は1人、経営学の専門教員は1人みたいな感じ。だから、どれだけ優秀であっても大学に空きがないと(定年退職されないと)新しい教員が採用されないそうです。つまり、大学教員になれるかは運次第だそう。
ちなみに、私のゼミの教授は短大の採用通知が民間の採用通知よりも早くきたから短大に就職したそうです。それくらい、大学の教員になるのは大変なんですって。
そういうわけで、在籍する大学教員のレベルや経歴を重視したのはよかったかなと思います。
大学進学を検討する際、大学の教員の研究や最近の執筆論文を確認すると良いかもしれません。
短大への入学
私が入学した時の募集が、定員100人に対して、入学したのはわずか80人。まさかの定員割れで、共通テストの勉強必要なかった…!
実は、公立短大、結構定員割れしているんです。
参照:全国公立短期大学協会、「令和5年度公立短期大学実態調査」、5頁から14頁
公立短大は全国に14校です。
というわけで、日本の高認さえとってしまえば、割と簡単に(?)公立短大入学できちゃうようです。
短大での授業は?
自分は久しぶりの日本語での授業ってこともあって、ちょうどいいスピードに感じていました。
担当する先生にもよりますが、先生の指導教諭を中心にその大学で学んだ研究者が書いた教科書を使用する授業は、全体的にレベルが上がって面白いように感じます。一般的な教科書で扱うようなものの他にニッチで専門的な内容を扱うことがあるからです。
また、1回の授業で同じことを3回言う先生がツボでした。笑
予習・復習しなくても楽っていう感じ。
英語のクラスでは正直物足りないと感じることもありますが、教授がイギリス文学の専門ということもあり、イギリス訛りの英語を1人で勝手に楽しんでます。
今在籍している短大の正規の教員が30人程度に対して、非常勤の教員が100人くらいいて、その非常勤の先生の中には、4年制大学で教員している先生や、博士課程にいる学生が先生のケース、税理士や弁護士として活躍する実務家の先生もいます。実業家の先生の場合、資格や実務の話を交えた授業が特徴的で、2年で卒業して就職する短大ならではなのかなと感じました。
短大はおすすめか?
正直、授業のレベルは高くない(3回も同じことをいう先生がいるくらいだから)し、授業中に教室内でいびきが響き渡ることも多々あります。(働きながら通っている生徒の居眠り可能性もありますが…)けど、本人次第で、能力の高い先生がいる環境をうまく活用すれば、成長可能性を秘めていると感じます。
カナダの大学では、授業後に長蛇の列を作って質問するのが普通だったけど、日本だと授業後にすぐに対応してくれるし、教授室に先生がいれば、オフィスアワーでなくても、大体質問に対応してくれるのがいいですね。
短大に入学してくる学生の中には、浪人生をしていた学生や1度大学に入学したが大学が合わずに退学してしまった学生、
就職氷河期で就職先が先に決まったから進学を諦めた方や、子育てがひと段落したから入学した方、定年退職後に入学する方など、4年制大学よりも多種多様な方々が在籍しています。
今思うこと
いわゆる「普通」を手に入れることができればいいけれど、実際は「普通」ってすごく難しいんだなと思います。
それは「留学」でも同じで、世間一般では、1年留学したら英語がペラペラになると思われがちだけど、そんな人ばかりじゃないです。日本にいる外国人の留学生が、1年で日本語を流暢に話せるかって考えると、そんなにたくさんはいないですよね。
留学にも運の要素があるし、私自身高校留学中、人に恵まれたと感じています。一方で、無視してくる留学生嫌いの先生に当たったこともあります。今となっては笑い話です。
個人的には、それでも若い時は挑戦した方が良いと思います。気力も体力もあるし、まだ何も知らないから。最近感じるのは、「当時と同じことをすることは今はできない」、ということです。何も知らなくて若いから突っ走れることもあるし、失敗は挑戦した対価とも言えるかもしれません。
私が失敗したばかりのときは、ああ死のうって思いました。絶望しました。でもしぶとく生きて延びています。ナデシコ留学の新美さんは、「結果より過程が大事」ってよく言うんですが…失敗した時のダメージは計り知れないのは事実で、それは、経験した人でないとわからないと思います。(もちろんダメージをどれくらいくらうかどうかはその人のタイプにもよると思います。)
次回は留学で得られる恩恵と失敗した時のリスクを比較してもらうべく、「留学の失敗の瞬間」にフォーカスした記事を書きました。次回の記事をお楽しみに。