そろそろ来年度9月の高校留学の出願が盛り上がってくる季節になりましたね。というわけで、これまでとくにまとめて書くことがなかったのですが、今年は「カナダ高校留学ガイド」として高校留学の基礎になる情報を載せていこうと思います!
この記事をおすすめするかた:カナダの高校留学について調べ始めたかた
カナダ高校留学(中学留学) 概要
中学・高校正規留学プログラムは、カナダにおいて正規に認められたそれぞれ中学(中1~中3:グレード7~グレード9)および高校(高1~高3:グレード10~グレード12)にあたる教育機関へ任意の期間留学を行うものであり、目的は、語学習得、単位認定、高校卒業資格取得と個人により異なります。
カナダは州により、とくにセカンダリー(中等教育)の学年分けの方法が異なっており、中学~高校までの学年の分け方や、「高校卒業資格」(日本でいうところの後期中等教育)が何学年の合計単位で構成されるのかが異なります。たとえば中学3年生のグレード9から卒業資格が始まるオンタリオ州やマニトバ州、日本と同じ高1のグレード10から始まるブリティッシュコロンビア州やアルバータ州、サスカチュワン州などがあり、またケベック州では珍しくグレード10とグレード11の2年間での卒業資格になっているので行先の州の選定は注意が必要です。(下記の表ではBC州の中期教育は6年制ですが、実際の卒業単位のカウントが始まるのは高1からの3年制になり、ケベック州では2年制になるので少し見方がトリッキーです。)
語学習得目的の場合、多くは数か月~1年間となりますが、高校卒業資格取得の場合にはたとえば高校留学でもっとも人気の高い州であるブリティッシュコロンビア州では、最短でも、日本の高校1年生の単位を交換したうえ、平均2年~3年ほどの長期留学となります。
中学校での留学の場合、日本では中学校教育は義務教育期間にあたり、とくに公立中学の場合は在籍中にどれだけの期間を留学に充てても、帰国時には年齢に応じた学年に戻ることができ、「単位認定」「卒業資格取得」目的自体が存在しないようです。中学校での留学の場合には、語学習得目的のほか、進学においてカナダ高校卒業資格を目指すための事前準備として、プログラム参加を行うことが一般的です。
一方で高校での留学は、日本の高校制度との関係から3パターンに分けられています。
- 単位認定留学
36単位を上限として、留学中の履修を日本の高等学校における履修とみなし、単位の認定が可能。但し、単位の認定は在籍校の規則に基づいて単位移行をすることになるため、事前に単位認定される教科の確認が必要。
単位が認定されると、学年を落とさず進級となるが、留学先で単位を落とした場合は留年となる可能性がある。期間は学校長の許可により、3か月、半年、1年。 - 卒業留学
カナダBC州の高校卒業を目指す留学。
高校2年からカナダの高校へ卒業留学をする場合、日本で取得した高校1年の単位の多くがカナダBC州の高校へ単位移行が可能。
カナダで取得が必要な高校1年の単位もあり、留学先の高校での受講が必須。
またカナダBC州の高校を卒業するにはGrade11(高校2年)とGrade 12(高校3年)の課程を修了することが義務付けられている。※高校卒業留学の場合には、中学を3月に卒業後、日本で高校へは進学・在籍せず、そのまま同年9月にカナダの高校へ留学をして高校進学とする留学生もいる。 - 休学留学
日本の在学校を1年休学する留学。帰国後は一年下の学年に入るため、留学中の過ごし方、受講科目は単位を気にせず自由に選べる。
※中学の場合もこれにあたるが、高校と異なり基本的には自由な留学をしても休学扱いにならず年齢に応じた学年へ戻ることができる。しかし、入学に受験を要する私立や国立中学の場合は学校の定める試験があったり、学校が卒業を認めない場合があるため、留学前に必ず学校に確認を。公立中学への転校をする学生もおり、公立への転校がなく、私立中学を中退した場合には別途「中学校卒業程度認定試験」資格もある。
ちなみにカナダの公立留学でもっとも留学生が多いのはBC(ブリティッシュコロンビア)州で、2位のオンタリオ州に2倍の差をつけて圧倒的トップ。気候やプログラムの柔軟性が評価されているのかな。
私立と公立だと、カナダ人の学生は98%程度が公立に行くという情報も。留学生はどちらを選ぶこともできるけど、カナディアンが多いのは圧倒的に公立になりそうだね。
カナダ高校留学(中学留学)かかる費用
中学・高校留学とも、「留学生プログラム費用」と呼ばれる、現地学生とは異なる費用体系が適用されます。公立の場合、留学先学校の属する教育委員会指定のプログラム費用、私立の場合には学校の指定するプログラム費用を支払います。プログラム費用には、現地で最低限として必要な以下のものが含まれていることが一般的です。
- 1年度分(10か月)の学費
- 1年度分の医療保険費用
- 1年度分の三食付のホームステイ費用または寮費用
- カナダでの未成年後見人の費用
- 空港送迎費用
- ホームステイ手配料
- 出願料 など
カナダBC州の公立の場合、上記を含んだプログラム費用は1年度あたり300万円~350万円程度(2024年10月時点レート換算)が多く、ほかの州では250万円程度からプログラム費用を設けている学区もあります。カナダ全土において州や教育学区により留学生プログラム費用は異なり、都市部ほど費用は高い傾向にあります。私立は滞在形式により500万円~1200万円程度。学年により多少、学費または滞在費に違いがあることもあります。
そのほかに留学にかかる費用は以下のようなものがあります。
- 航空券往復(行先、時期により20~30万円前後)
- ビザ申請費用(諸手続き費用を合わせ5万円前後)
- 任意留学保険費用(15~25万円程度)
- 手続き代行費用または高校留学エージェントサポート費用(ナデシコ留学の場合、1年度あたりプランにより税別10万円~42万円)
- 現地でのお小遣い、任意参加のアクティビティ費用
費用は為替レートによって大きく左右されるのね。各州の各公立学区の2025年度プログラム費用はこのリンクから一覧で見られるよ。
卒業留学を希望しているので費用が気になる…。費用を節約したい場合はどうしたらいいのかな。
いくつか、アイデアが書かれている記事がこちらにあるよ。一番の節約はやはり公立を選ぶことと、費用の抑えられている学区プログラムを選ぶことね。
留学先について
中学高校どちらの場合にも、公立の場合には、まず州を決定し、希望の留学生活や目標に応じた学校やエリア(市ごとに存在する教育学区)を絞り込みます。留学申し込みおよび出願は公立の場合、教育学区に行い、出願において学区内での希望の3校程度を提出し、空きに応じて学区側が最終配属校を決定します。空きがあれば第1希望に配属されることが多くなっています。
ホームステイの少ない州や学区では、まず先にホームステイを確定させてから、近くの学校に配属されるというステップをふむ学校もあります。その場合あまり希望は考慮されません。
私立校の場合には学校に直接出願を行い審査が行われます。私立高校は事前にオンラインでの学力のテストや面接(親子面接)、推薦状提出などの厳重な審査が行われる学校も多いので、出願前にステップを確認しておくことをお勧めします。
※ナデシコ留学ではBC州以外にも、アルバータ州やマニトバ州、サスカチュワン州、オンタリオ州、ケベック州や東側の各州の公立高校、および各種私立高校のご紹介もしておりますので、詳しくは公立高校のページ、私立高校のページをご覧ください。
カナダの市町村の公立学区は教育委員会の中に「留学生部(留学生プログラム)」を持っていることがあって、その中で留学生の受け入れやサポートが行われているのよ。とくにBC州とオンタリオ州では留学生部を持っている学区が多いので、留学生人口もその分多いのね。
公立高校のページを見るとカナダは公立でも一般学区とカトリックの学区が存在しているのね。
アルバータ州、サスカチュワン州、オンタリオ州は同じ市町村にも一般公立学区とカトリック公立学区がそれぞれ存在しているのよ。カトリック学区の方が規模は小さいことが多いけれど、とくにカトリック信者ではなくても留学生は受け入れてくれるので、中学高校留学での候補の一つになっているわ。
どうやったらカナダの市町村が留学生部(留学生プログラム)を持っているかわかるの?
カナダの公立学校の留学生プログラムの公式団体CAPS-I(キャプシィ)が日本語のガイドブックをオンラインで配布しているわ。これが「日本人が留学生として単身で通える学校区のすべて」になるわ。でもお世話になるエージェントがその学区と提携しているかは要確認ね。
申し込み・出願前後の流れ
9月(前期)入学の場合には、入学前年の秋ごろに出願が始まり、冬には人気校から順に締切が入り始めます。希望の学校に入るには”早いもの勝ち”であるため、早めの出願がポイントとなります。とくにカナダブリティッシュコロンビア州、バンクーバーエリア付近は非常に人気が高いため、年内の出願が強く推奨されています。
受け入れの条件ですが、公立の場合は、学校成績の平均が3以上あること、心身ともに健康であることが条件にされていることが多く、面接や英語力の証明等は不要です。出願後、2週間程度で入学が決まります。ナデシコ留学はじめ、エージェントによっては出願前に希望の学校の空席があるか学校に問い合わせることも可能です。
私立校の場合にはそれ以上を求められることが一般的で、事前のオンラインでの英語(数学)のテスト、またオンラインでの英語面接(親子面接)にて入学可否が決まります。
入学決定後は受け入れの通知と同時に比較的すぐにプログラム費用の支払いが求められ、ビザ申請へと続きます。ビザ取得後には航空券手配、保険手配、荷物手配等の準備を行っていきます。
受け入れに英語力は要らないのね!
カナダの高校にはESLという留学生英語のクラスが用意されているところも多いので、ESLと並行しながら最初は体育やアートなどの実技科目を履修して、少しずつ英語環境に慣れさせていくことが多いよ。ただESLのレベルが上がらないor低すぎるレベルからのスタートだと、卒業留学の場合は希望の期間での卒業に間に合わないかもしれないから注意ね。
英検3級くらいしかない子はどうかな…。
英語力は高ければ高いほどいいけれど、卒業留学で3年を見込んでいくなら英検3級でも不可能という範囲ではないと思うわ。問題になるのは学力のほうね。カナダは50%以上の成績をキープしないと科目ごとに単位を落としてしまうのよ。一生懸命勉強に取り組む姿勢が英語力よりも大切みたいよ。
ということで、まだまだ語りたいこと、説明したいことはあるのですが、まず一番最初の基礎知識という部分では、みなさまの疑問をクリアにできているといいなと思います!
またご要望などあれば第2弾を書いたり加筆したり、今度は動画などでも説明できるといいなと思っています。
ではまた次回~!